F1を見ていてドライバーの上にあるものが気になった方は多いのではないでしょうか?今回はこのヘイローと呼ばれるものについて解説していきます。
ヘイローとは?
ヘイロー(Halo)は2018年にF1で導入されたドライバーの安全の保護改善のための構造物です。チタン製でブラケットのような形をしており、デブリや他のマシンなどがドライバーの上に落ちてくることを防ぐ目的で設計されました。ヘイローは12トンの力に耐えられるように設計されています。
なぜヘイローが導入されたのか?
ヘイロー導入のきっかけは2014年に起こりました。日本グランプリでジュールビアンキがコース修復中のクレーンに衝突し亡くなった事故です。彼のヘルメットは外れてしまっており頭部損傷の上9か月後に亡くなりました。
この事故の前にも2009年のハンガリーグランプリ中にフェリペマッサがデブリとの衝突で意識喪失になる事故があり、ドライバーのさらなる保護が重要であることが議論されていました。
ドライバー保護には2つのアイディアがありありました。1つはヘイロー、もう1つはウィンドスクリーンです。ウィンドスクリーンもテストされましたが、テストドライバーのセバスチャンベッテルによれば視界が歪んでしまって運転ができないとのことで最終的にヘイローが採用され、2018年から導入されました。
ヘイローの開発はチームでは行えず、FIAが定めた3社のサプライヤーから供給されています。
ヘイローはダサい!?反対意見も続出
ドライバー保護のため導入されたヘイローですが、導入当初はダサいといった意見が多く、導入反対の声が多く聞かれました。海外ではビーサンみたいと言われてたそうです。確かにビーサンに見えましたが、F1はデザインを洗練させ今ではそのような声はまったく聴かなくなりました。
視界も悪くなったという声もドライバーからあがりました。しかし特に問題はなかったようで、バルテリボッタスは「視界が少し悪くなったけどすぐ慣れた」と発言しています。
ヘイローのちょっといいところ
ヘイローの導入にあたってチームはヘイローをエアロパーツとしてその周辺の空力改善に使用することも考えていました。フェラーリはサイドミラーをヘイローにつけることでサイドポット前方の空力改善を図っていました。
さらにヘイローの導入によってスポンサーロゴのためのスペースが増えました。これにいち早く気づいたのが「Gandys」というビーサンのブランド。ビーサンに似てるヘイローにはもってこいのスポンサーでしたね!
結局ヘイロー導入してよかった
ヘイロー導入の目的であるドライバー保護ですが、導入したその年から効果を発揮しました。
2018年オランダグランプリで、フェルナンドアロンソのマシンがクラッシュにより持ち上がり、シャルルルクレールの頭の上に落ちてきました。しかしヘイローに落ちたのでルクレールは無事でした。
2020年バーレーングランプリでは、ロマングロージャンを命の危機から守りました。グロージャンのマシンはクラッシュによってクラッシュバリアに突っ込み、ガードレールの下にもぐりこんでしまいました。ヘイローがなければ首が物理的に飛んでいたところですが、ヘイローがガードレールを持ち上げてスペースを作ったためグロージャンは無事マシンから脱出ができました。
2021年イタリアグランプリでは、首位争い中のルイスハミルトンとマックスフェルスタッペンがクラッシュし、フェルスタッペンのマシンがハミルトンのちょうど頭に落ちてきました。しかしヘイローによってハミルトンは押しつぶされることはありませんでした。レースの後トトウォルフは「ヘイローがハミルトンを守ってくれた」と発言しています。
導入当初は反対意見も多かったヘイローですが、このような事故からドライバーを守ったことで今ではなくてはならない存在となっています。
まとめ
今回はヘイローについて解説しました。導入当初の反対を押しのけるような見事な活躍が見れたヘイローは、最近のF1とはデザインがマッチしてかっこよく見えるのはわたしだけではないはずです!これからもドライバーの安全を見守りつつ観戦を楽しみましょう!
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