F1をインディ500で走らせてみたらどっちが速い?特徴や違いも解説

グランプリ

F1と似たカテゴリーにインディカーがあります。インディカーは北米モータースポーツの最高峰で、オーバルコースが特徴的です。そんなインディカーで最も人気で世界三大レースに数えられるインディ500にF1を参戦させてみたらどうなるのか?という夢物語を考察してみようと思います。

インディーカーの特徴

インディカーはF1と同じようにダウンフォースが大きく、V6ターボのエンジンを積んでいます。しかし違いも多く、F1では各チームがオリジナルのマシンを設計、製作するのに対し、インディカーではダラーラが供給するシャシーのワンメイクとなっており、エンジンはホンダ、シボレーから選択できます。ワンメイクにすることでチームで莫大な開発コストを掛ける必要がなくなり、さらにマシンの性能差がなくなり接近戦になりやすくしています。

インディカーはオーバルコースも走ります。実はオーバルの時はオーバル専用の特殊なセットアップが必要となります。

インディカーにはコースに合わせて大きく分けて3つのセットアップがあり、それぞれロードコース用、ショートオーバル用、スピードウェイ用となっています。

参照:https://www.indycar.com/Fan-Info/INDYCAR-101/Introduction-To-INDYCAR/The-Indy-Car/Oval-vs-Road-Course-Configuration

ロードコースはダウンフォース多め、キャンバーもシンメトリーになっているのに対し、オーバルでスピードが速くなるほどダウンフォースが減り、サスペンションも左回りに特化した形になります。

エンジンはF1のようなハイブリッドではなく純粋な2.2リッターツインターボで500~700馬力を生み出します。

F1のマシンと比べてみると

このようにインディカーはマシンをワンメイクにすることでチームやドライバーの技術を競っています。開発にコストが割かれない分小さいチームでも参戦が可能で、場合によっては優勝もできたりします。

しかしF1ではマシン開発に重点が置かれ、チームは莫大な資金を費やして毎レースアップデートを行っています。もしF1がインディカーのロードレースに参戦すれば莫大な資金と開発力によって圧倒的な差をつけて勝利してしまうのが用意に想像できます。

実際サーキットオブジアメリカズでのラップタイムを比較してみるとその差が歴然です。

左が2018年のF1のポールラップ、右がインディカーのテスト走行中のラップですが、18秒もの差がついています。予選一発とテスト中の走行なので一番良い比較ではありませんが、加速、コーナリング、ブレーキングすべてでF1が圧倒的に速いのがよくわかります。

オーバルコースではどちらが速いのか?

ロードコースでは圧勝だったF1ですが、オーバルコースではどうでしょう?

結果から先に言うと、こちらでも勝利する可能性が高いと考えられます。しかし圧倒的とまではいかないと思います。その理由を考察してみました。

まずオーバルコースでは特殊なエアロパッケージが必要です。インディカーでは空気抵抗を極限まで減らすためウィングは単純なメインプレートが一枚になります。これによって最高スピード386km/hを実現しており、これはF1最速のモンツァ使用でもなかなか難しいでしょう。

スピードウェイ使用のエアロは空気抵抗の減少と同時にダウンフォースも減少します。しかしインディカーのフロア形状はベンチュリ構造になっており、空気抵抗を減らしつつダウンフォースを発生させられます。2021年までのF1はベンチュリ構造が禁止されていたため、もしモンツァ使用以上にドラッグを減少させたエアロキットにしてもこの点では分が悪かったと考えられます。

2つ目に考慮するべき点としてエンジンが挙げられます。F1のハイブリッドシステムはオーバルには全く向いていません。ハイブリッドシステムはブレーキング時のエネルギー回生を行い、回生エネルギーをモーターに送ることで力強い加速を実現していました。しかしオーバルコースには減速する箇所がたったの4つ、ブレーキングはほぼありません。さらに加速もほぼないに等しいのでハイブリッドシステムは必要ありません。とは言ってもF1のエンジンは単体で800馬力以上で、インディカーよりも100馬力以上あるのでエンジンはF1が有利でしょう。

F1のパワーユニットについてはこちら!

3つ目はオーバル使用のサスペンションセットアップです。オーバルコースは右コーナーのない単純な左周りなので、F1には存在しない左右非対称のセットアップが最適になります。バンク角に対して垂直になるように4つすべてのタイヤに左側に傾くキャンバーをつけ、グリップを最大限引き出しています。このせいでストレートではステアリングを少し右に切っていたりします。さらにアンチロールバーに加え車高も走行中にドライバーが調整できるようになっており、走行距離が比較的長いことによるマシンバランスの変化に対応したつくりになっています。

インディカーのアンチロールバー調整の説明動画。ドライバーの操作によってバーの角度を変えることで入力に対するロール剛性を調整している。

ロードコースや市街地コースしか走らないF1マシンにはこのような装備はありません。F1が左周り専用のサスペンションを設計、セットアップすることは可能だとは思いますが、経験が少ないため難しくなると考えられます。

このような理由を踏まえたうえでそれでもF1がインディカーに勝てると私は思います。専用設計のハイパフォーマンスエアロ、800馬力を超えるエンジン、さらにインディカーよりも幅広のタイヤなどのマシンの基礎といえる部分で圧倒的な差をつけられるF1は多少不利な状況でも勝てると考えられます。

まとめ

今回はF1がインディ500で勝てるのかについて考察してみました。多少不利な状況でもマシンの圧倒的なパフォーマンスで勝てるという結果はさすがF1!というしかありませんね!

またインディカーは北米というモータースポーツ界隈では異色の地の最高峰です。面白いルールがあったり4ワイド、5ワイドが当たり前のレースは他のカテゴリーと一線を画す面白さがあります。スピードウェイでの圧倒的な速さも見ものですので興味がある方はぜひ見てみてください!

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