【F1】6Gの減速を可能にするブレーキの仕組みと構造を解説!

F1の技術

F1はレーシングカーの中で最もハードなブレーキを可能にするマシンです。そんなF1のブレーキシステムや構造について解説したいと思います!

そもそもブレーキの役割って?

本題に入る前にそもそもブレーキはどういう役割のある装置なのかを考えてみましょう。当然ブレーキは減速のためにあります。しかしその中身は「車から運動エネルギーを奪って熱エネルギーに変えている」ということです。

また減速スピードはタイヤのグリップによって大きく変動します。昔のF1は市販車と変わらない鉄製のブレーキを使用していました。しかしエアロの開発などにより強力なブレーキが可能となったF1マシンは、短い時間により多くの運動エネルギーを熱エネルギーに変えられるブレーキが求められました。

カーボン製のパッド・ディスク

そこで開発されたのがカーボンブレーキです。カーボンブレーキは300℃以上の高温になると鉄製のブレーキよりも強力な摩擦を起こし最大で1200℃の熱に耐えることができます。そのためより多くのエネルギーを熱に変換することができました。また鉄製のものよりも冷却速度が速く、ブレーキングが何度も行われるF1においてもオーバーヒートしにくい優れものです。実際にカーボン製のブレーキの冷却速度はこちらの動画から確認できるので貼っておきます!

カーボンだけじゃない!冷却効率を考えたブレーキ周りの構造

カーボン製のブレーキの採用は長い距離を走行するF1ではとても重要でした。しかしそれだけではオーバーヒートしてしまうでしょう。そこで空力を利用した冷却が採用されました。

まずブレーキディスクには側面に冷却用の穴が開いています。穴があるとディスクの強度が落ちてしまうので昔は30個ほどしかありませんでしたが、現在では開発が進み最大で約1000個の穴が開いています。

参照:motorsport.com

またブレーキダクトからの空気流入も冷却に貢献しています。2021年までは冷却に使われた空気はホイールの外側に向かって流していましたが、2022年のレギュレーション変更で冷却空気は内側に流しださないといけなくなりました。ブレーキの冷却空気を含むレギュレーション変更に関してはこちらの記事をご覧ください。

ブレーキアセンブリの軽量化・キャリパーの最適化

カーボンブレーキはみなさんの予想通り鉄製のものに比べて大きく軽量化できます。また冷却システムに使われているのは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、俗にいうカーボンパーツとなっており、ばね下重量の軽量化が図られています。ブレーキキャリパーもその対象で、より少ない材料で強度を出し、軽量化が図られています。よくアップライトの設計で使われるトポロジー最適化という方法をキャリパーに応用し軽量化することもあるそうです。

ちなみにキャリパーはピストンが6つついています。乗用車では1つか2つしかないのでそれだけ強力なブレーキングが求められているのがわかりますね。

6つのピストンはそれぞれ面積が違うのが写真から確認できます。これはディスクが回転することによる摩擦で内側に回転しようとする力が加わるため、それを打ち消すようにこのようになりました。ピストンサイズの違いやパッド数に関してこちらの記事が詳しく解説していたので参考にしてください!

【注意!】 異径キャリパーと同径キャリパーの違い
Z系でフォーク前にキャリパーを固定してる方、エクストリーム系でリヤにフロント用を使ってる方は必見 !

まとめ

今回はF1のブレーキについて解説しました。まとめると、

  • カーボンブレーキによってより多くのエネルギーを熱に変換することで強力な減速が可能
  • 空力を使って効果的に冷却
  • カーボンパーツやその他テクノロジーを使ってばね下重量の軽量化

ということでした。

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