今回はF1のハンドルについているスイッチがどんな役割があるのか説明してみます!ここでは例として2020年のメルセデスのハンドルを見ていきましょう。
モタスポファンならステアリングと呼ぶ
まず大前提として車のハンドルと呼ばれているものはステアリングホイールといいます!モタスポファンはステアリングと略して言うことが多いので気を付けましょう!
ステアリングの解説 – 前側
ステアリング前側はたくさんのスイッチが並び様々な機能を両手の親指だけでほぼすべて操作できるようになっています。それぞれ解説していきます!
ディスプレイ
ディスプレイにはパワーユニットの状況、ピットからの指示、シフトライトなどのドライバーが知る必要のある情報がすべて表示できるようになっています。
DRS
ボタンを押すとDRSが稼働します。リアウィングのフラップが開き空気抵抗が減少、オーバーテイクがしやすくなります。詳しくはこちらから!
デフォルトボタン
車のシステムに異常が発生した場合などにデフォルト状態に戻すために使います。
ニュートラルボタン
ギアをニュートラルに入れます。最近ではピットストップのスピードが格段に速くなったのであまり使われなくなりました。
ピットレーンスピードリミッター
ピットレーンでぴったり80km/hもしくは60km/hに保ちます。
ピット確認ボタン
ピットインするときなどに「了解」の意味で使われています。ピット確認が押されるとガレージからメカニックが出てきてタイヤ交換やパーツ交換などを行います。
デフエントリー・ハイスピード
デフの調整に使います。デフを調節することで左右のリアタイヤにどのくらいのトルクを配分するかが決められます。
ブレーキバランス・ブレーキマイグレーション
ブレーキの前後配分を調節します。ブレーキマイグレーションはF1のブレーキ・バイ・ワイヤシステムによって可能な技術でブレーキング中のバランス変化の調節をします。
マーカーボタン
ピットインするほどではないけどドライバーが異変を感じるときなどにこのボタンを押してピットに状況を伝えられます。
オーバーテイクボタン
オーバーテイクするときに押すことでパワーユニットから最大出力を得られます。
トークボタン
最近の技術の発達によりドライバーはピットとまるで無線を介していないかのように会話できます。ただしトークボタンをオフにしているときはピットとの会話を遮断することができ、ドライビングに集中したいときなどはオフにしているみたいです。
ブレーキバランス+-
ロータリースイッチのブレーキバランスと役割は同じです。
パワーユニット調整スイッチ
ディスプレイ下のダイヤル式のスイッチはパワーユニットチューニングのためのスイッチです。ブーストやERSの調節ができます。片手をステアリングから離して調節する必要があるためステアリング操作の少ないメインストレートなどで行うことが多いようです。
ステアリング解説 – 後ろ側
後ろ側は複数のパドルが備えられています。パドルシフトはステアリングの持ち手の形を変える必要がないため操作が走行に影響しにくくなっています。そのため一番操作の多いシフトチェンジは後ろ側についています。また大きい動作が必要なクラッチも後ろのパドルで操作しています。
シフトアップ・シフトダウン
ギアを変更する際に使います。
クラッチ
クラッチはスタートとピットストップで使用します。ギアチェンジのときは自動で行われるので使いません。
CAN bus コネクター
F1のステアリングの中でおそらく最も重要な部品がCAN busコネクターです。ステアリングの取り外しを可能にしている上、接続されているときはこれを通して車体のすべての情報をディスプレイに表示します。もし水滴などが隙間からしみ込んで情報伝達がうまくできないと車体全体のシステムに異常が出てしまう可能性もあります。
その他のスイッチ・機能
このほかにもボタンやスイッチがありますが、特に決まった機能があるわけではなく、ドライバーの好みで機能を変えることができます。また2020年のメルセデスはDASを搭載しており、ステアリングを引いたり押したりすることでフロントタイヤのトーを変えることもできました。
複雑なシステムのステアリング。そのお値段は!?
これだけの機能を小さなステアリングに収めるのには相当なコストがかかることは想像に難くないですね。実際F1のステアリングは1000万円以上するといわれています。さらにステアリング単体のコストに加え、マシンとのセットアップなどでもコストが必要になると考えられます。
まとめ
今回はステアリングのスイッチやその機能について解説しました。ドライバーは天性の走りの才能も必要ですが、これらすべてのスイッチを理解し、マシンのポテンシャルを最大限に引き出すことも大切です。F1がどれだけ複雑なのか、そしてF1ドライバーがどれだけ賢いのかがステアリング1つ見るだけでわかるのはとても面白いですね!
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