今回はレーシングカー・チューニングカーの設計初心者に対してどのような手順で設計をするべきかをまとめてみました。
レーシングカーの基礎を知る・外力の分析をする
設計を始めるうえでレーシングカーがどういう目的で使われるのか、どのような環境で使用されるのかを知ることが大切です。
モータースポーツにはサーキット走行やヒルクライム、ラリーなどさまざまな種類があります。
しかしすべてにおいて共通するモータースポーツの目的は、ある一定の距離をできるだけ短い時間で走り切ることにあります。
これを可能にするには主に
1.できるだけ車を加速させ車の速度を高速に保つこと
2.ブレーキをできるだけ短い時間で行うこと
3.コーナーでの平均速度を高速に保ち、次のストレートでの加速をなるべく早いタイミングで行うこと
の3つです。
レーシングカーの設計ではこれらのモーションをいかに最適な形で起こせるかが問われます。
さらにこれらのモーションはすべて「加速」ととらえられます。
最初の加速はそのまま加速、ブレーキによる減速はマイナスの加速、コーナーでの旋回では横向きに加速しています。
加速をするということはニュートンの第2法則より外力が発生していることがわかります。
つまり車体がどのような外力を受けるかを分析することでその外力に対して車体がどのように応じるかを設計することができるのです。
ですから設計を始める一番最初にやることは外力の計算です。
タイヤの特性を知る
どのような車においても外力はタイヤを通して車体に伝わりますね。ですからタイヤの特性によってレーシングカーのパフォーマンスは大きく変わります。
タイヤで一番大事なのはグリップの特性です。特にどのような角度に対してグリップがどの程度増減するのか(トー、キャンバーなど)が重要です。ここを抑えることで次のサスペンションの設計ができるようになります。
サスペンション設計
続いてサスペンションの設計です。タイヤの特性に合った接地面の角度になるようキャンバー、トー、KPIなどを決めていきます。アップライトとホイールの間にある部品もジオメトリーに関係してくるので気を付けて設計しましょう。
アップライトアセンブリの設計が終わったらサスペンションリンクの設計です。車の重心に対してロールセンター、ピッチセンターをどこにもってくるのかなどを決定します。
サスペンションリンクの設計をもとに、どのくらいの外力に対してどのくらいロールやピッチするのかをタイヤの特性から計算し、スプリングレートやアンチロールバーを決定します。
シャシー設計
サスペンションリンク、またその他のパーツのパッケージングをもとにシャシーの設計をします。
スペースフレームなのかモノコックなのか、サスペンションの動きを邪魔しないねじり剛性、クラッシュ時のエネルギー計算が重要になります。
まとめ
今回はレーシングカー設計のプロセスの概要をまとめてみました。順番としては
1.外力の計算
2.タイヤ特性
3.サスペンション設計
4.シャシー設計
となります。これに加えてブレーキシステム、ドライブトレイン、エンジン、エアロなどの設計も必要ですが、今回の順番などとは外れるため含めませんでした。
次回からはそれぞれのプロセスの具体的な設計や計算方法をまとめていこうと思います。
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