F1においてピットでのタイヤ交換はレースを大きく左右するシーンです。コンマ数秒を争うレースで数秒遅れるだけで逆転される可能性が大いにあり、緊張の瞬間ですね!
タイヤ交換をするとき、乗用車の場合4つ交換するのに早くても15分以上はかかると思います。しかし一刻を争うF1ではタイヤ交換はなんとほとんどの場合3秒以下で終わります。3秒以上かかってしまうとかなり遅く、数台に抜かされてしまう可能性もある一方で、2秒以下の場合は数台を追い抜ける可能性があります。
そんなピットストップですが、どのように行われているかご存知でしょうか。何人が関わり、それぞれどのような役割があるのか見ていきましょう!
タイヤ交換が必要な理由はこちらの記事で説明しています!
ピットクルーの役割
F1では20人以上のピットクルーが1チームを形成しています。他のカテゴリーに比べて段違いに多い人数ですが、F1にはピットクルーの人数に関するレギュレーションがないためです。各ピットクルーの役割を見ていきましょう。
タイヤガンナー
タイヤガンナーはホイールガンを操作する人です。各コーナーに1人割り当てられます。タイヤガンでホイールナットを緩め古いタイヤを外し、新しいタイヤがはめられたらナットを締め上げることが役割です。ちなみにホイールガンは10,000RPMで回転するので初心者が扱うと手首をねん挫することもあるくらい強力です。
ホイールガンは万が一壊れてもすぐに交換できるように各タイヤに2つずつ、計8つが用意されています。
ホイールガンは圧縮空気か窒素で動作します。ナットを一度緩めると自動的に回転方向が反転し、迅速に締め付けが行えるようになっています。作業が完了した際はハンドサインを出していましたが、現在はホイールガンが電子制御でサインを出しています。作業に失敗した場合はガンナーがX字のハンドサインを出すことによってチームに状況を瞬時に知らせ、場合によってはマシンを止めることになります。
タイヤ取り外し担当
各タイヤごとに1人が割り当てられ、古いタイヤを抱えてマシンから取り外します。単純な作業に見えますが、10.5kgのホイールを一瞬で外すのは非常に難しい作業です。さらにマシンの停車位置が50cmでも違うとホイールを抱えられなくなってしまうので作業が遅れてしまうこともあります。
タイヤ取り付け担当
取り外し担当と同様に各タイヤごとに1人割り当てられ、新しいタイヤを抱きかかえてマシンに取り付けます。
ときどき起こる珍事件としてダブルピットストップの際にチームメイトのタイヤを装着してしまう、あるいはどのタイヤを装着するかまだ決まっていなかったなどがあります。必ずしも取り付け担当の責任ではありませんが、ピット作業が遅れてしまい数台に追い抜かれることがあるようです。
フロントジャッキ担当
担当のクルーはピットに入ってきたマシンを素早くジャッキアップします。ジャッキはF1マシン専用品で、フロントウィングの下に滑り込ませ、ハンドルに体重を乗せることで持ち上げられます。担当クルーはタイヤ交換中にジャッキダウンに備え横に移動します。タイヤ交換が終わるとジャッキをリリースし、マシンが接地します。すぐにジャッキを横によけ、マシンがピットアウトしていきます。
フロントジャッキはチームにつき2人が担当します。ひとりがメインで、もう1人はトラブルに備えたスペアです。
リアジャッキ担当
マシンがピットに入ると後ろ側に素早く駆けつけジャッキアップします。フロントと同じ工程ですが、ダブルストップでない限りは横によける必要はありません。フロントと同じように1人がメイン、もう一人がスペアで対応しています。
スタビライザー
マシンがジャッキアップされると非常に不安定になり、タイヤ交換に支障をきたす可能性があります。スタビライザーはコックピット中央あたりを両サイドから2人でつかみ、マシンを安定させる役割を担っています。
フロント、またはリアに深刻なダメージがありジャッキアップができない場合はスタビライザーが代わりにシャシーを持ち上げています。ものすごい力持ちですね!
フロントウィング調整担当
天気、気温、路面などのコンディション変化によってレース中にフロントウィングを調整しなければいけないことがあります。ドライバーとエンジニアの決定に応じて調整担当クルーがフロントウィングを調整します。調整はねじをまわすことでフラップの角度が変わる仕組みで、非常に簡単に作業できるようになっています。ウィングを交換しなければならないときはその手伝いをします。
ロリポップマン
ロリポップマンはピットレーンの状況をみて安全にマシンをピットアウトさせるための指示を出します。昔はピットレーン状況に加えタイヤ交換の状況も確認し、実際のロリポップを使って指示を出していましたが、現在ではタイヤ交換のシグナルは電子制御されました。
ピットクルーはタイヤ交換以外にも仕事がある!?
実はピットクルーはメカニックが兼任していることが多いです。メカニックはマシンの整備、セットアップを行っています。マシンに関して熟知しているためタイヤ交換中のトラブルにも臨機応変に対応できるのです。
ピットクルーの練習
10kg以上のタイヤを迅速に交換するピットクルーは身体作りが大切です。彼らはジムに通ったりトレーニングを欠かしません。さらにピットクルーには大きなプレッシャーがかかります。ピットクルー1人のミスによってピット作業に遅れが生じ、ポジションを大きく損なうことがあるからです。そのためピット作業の練習も怠りません。チームとして何度も練習することでタイミング、マシンとの距離感などを体が覚え、ミスを最小限に抑えることができます。練習はファクトリーで繰り返され、レースウィーク中は木曜日、金曜日に本番の地でも行われています。
ピット作業を見るには
ピットストップの様子はグランドスタンドからよく見えるので現地での観戦を考えている人はぜひグランドスタンドから観戦してみてください!さらに木曜日のピットウォークではより近くでピット作業を見学できるのでそちらもおすすめです!
まとめ
今回はピットクルーの役割を紹介しました。彼らはレース中ほんの数秒しか注目を浴びませんが、ものすごいプレッシャーのなかで2秒のタイヤ交換を実現しているすごい方たちでした!さらにピットストップの練習に加え注目されない裏方の仕事もこなし、マシンのメンテナンスまでしていて本当にいろいろなことをしなければならない役職でした。
コメント
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